シリコンコーティング剤 リガードの使い方

 リガードはシリコンゴムが主成分の、保護・コーティング剤です。パラグライダーキャノピー・ハンググライダーセイルその他の繊維製品に使用すると、防水性・耐久性が向上します。

特徴・注意点
 リガードはシリコンゴムを主成分とするコーティング剤です。常温で硬化するシリコンゴムを有機溶剤で希釈してあります。リガードを塗布すると、溶剤が蒸発した後、シリコンゴムが付着した状態になります。
 シリコンゴムは防水・滑走性があり、パラグライダーのキャノピーやハンググライダーのセールに使用した場合、傷・汚れの防止、生地(コーティング)の保護、色あせの回復等の効果があります。
 パラグライダークロスのエア漏れを止めるコーティングは、一般にポリウレタン樹脂が使用されます。リガードを使用した場合、生地の繊維およびポリウレタンコーティングを保護して、エア漏れ増加(コーティングの劣化)を遅らせる効果が期待できます。しかし、すでに劣化したコーティング(または生地素材)を修復する機能はありません。劣化してしまった素材に使用しても、初期の性能を回復することはありません。エア漏れに関しては、リガードを使用すると一時的にエア漏れは減少しますが、弊社としては、すでに劣化してしまった生地の性能を回復する目的での使用は、お勧めしません。リガードは生地が劣化する前に、寿命を延ばすために使用してください。
 パラグライダークロスの退色は、生地の色素そのものが紫外線などの影響で劣化する場合と、生地表面が摩擦により摩耗し、色合いが薄く見える場合があります。一般には両者が同時に進行します。リガードを使用すると生地表面にシリコンゴムの皮膜を作るので、後者の摩耗による退色を修復し、色合いを復活させる効果があります。
 有機溶剤により、素材が影響を受ける場合があります。パラグライダーに使用されるナイロン/ポリエステルクロス、ハンググライダーに使用されるダクロンクロスやトリーラムでは、塗布した後すぐに乾燥させれば、悪影響はありません。(パラグライダーに使用して、乾燥させずに収納して長期間放置したことで、クロスの色が移った事例があります。ご注意ください。) 生地に対する影響が心配な場合は、生地サンプルか目立たない場所で試用して、確認することをお勧めします。
 リガードの成分であるシリコンゴムには独特の匂いがあります。衣類に使用する場合や、匂いに敏感な方は注意してください。
 使用・保管は40℃以下で行ってください。有機溶剤が含まれているので、屋内では使用しないでください。また周辺に民家や農地がある場合は、影響が無いように配慮してください。火気は厳禁です。作業の際は、素肌に付着しないような衣類を着用し、必要に応じて手袋・マスク・ゴーグル等を使用してください。塗布/散布した後に乾燥させる必要がありますので、作業時間に余裕を持つように準備してください。乾燥には一般的に2時間程度かかります。
 シリコンゴムの特性上、リガードを使用すると、粘着材の効果が悪くなります。リペアテープによる修理や、ゼッケン・ロゴの貼り付けに支障をきたすことがあります。
 スプレーを使用するときは、有機溶剤に侵されないものを使用してください。弊社が販売するリガード専用のスプレーボトルは有機溶剤に耐えるものです。一般に市販されているスプレー(霧吹き)は水用が多く、1回は使えても、しばらくすると溶剤に侵されて使用不能になることが多いようです。
 スプレーを使用した後は、ポンプ内部にリガードが残らないように清掃してください。エアーガンで吹くか、またはスプレー式の洗浄剤を使用すると効果的です。ポンプ内にリガードが多量に残っていた場合、しばらく放置すると溶剤が蒸発し、シリコンゴムで固まってしまいます。こうなるとリガード専用スプレーであっても、再使用できないこともあります。洗浄を行っても、わずかにリガードが残るため、再使用のときに、すぐにはスプレーできないことがあります。この場合は、ポンプ内部にリガードを少量注ぎ、ポンプを作動させると、復活します。(残っていたリガードの量が多いと、時間が掛かることがあります。)

パラグライダーキャノピーに使う場合
 作業場所の環境が重要です。乾燥した草地が最適です。土や砂地はリガードを塗布した際に表面に付着することが多いために不向きです。風の弱いときに作業をしてください。作業場所やキャノピーが濡れていると、むらが出来ることがあるので、乾燥した状態で作業してください。
 キャノピーを広げて、30cmから50cm位の距離からスプレーで吹き付けます。生地表面が一様に湿った状態になるように、量を調整してください。濡れて光るほどの量は必要ありません。標準的な使用量は、30m2以下のキャノピー片面に500ccです。塗布した後、5分程度でべとつかなくなります。キャノピーを裏返して、反対面にも同様に塗布します。ラインやライザーに着いても特に問題はありません。ただしプーリー(滑車)に多量に付着すると、回転が悪くなることがあるので注意してください。
 塗布後には完全に乾燥させてください。立ち上げを1時間程度するのが理想的です。地面に広げて乾燥する場合は、時々裏返しながら、2時間以上の時間をかけてください。塗布初期に強く感じられる有機溶剤の匂いが消えるまで、十分に時間をかけてください。溶剤が蒸発した後には、シリコンゴムの匂いが残ります。
 乾燥をより完全にするために、リガードを塗布した後、出来るだけ早い時期にフライトしてください。長期間保管する予定の場合は、直前にリガード塗布は行わないでください。

ハンググライダーセールに使う場合
 屋外で作業してください。フライトするときと同様に組み立てます。スプレーで吹き付けるか、または刷毛やスポンジで塗布します。セール以外の部品に着いても、特に問題はありません。ただしプーリー(滑車)に多量に付着すると、回転が悪くなることがあるので注意してください。またゴム部品に多量に付着すると、溶剤により劣化する可能性があるので注意してください。
 塗布後には完全に乾燥させるため、2時間以上放置してください。塗布初期に強く感じられる有機溶剤の匂いが消えるまで、十分に時間をかけてください。溶剤が蒸発した後には、シリコンゴムの匂いが残ります。
 乾燥をより完全にするために、リガードを塗布した後、出来るだけ早い時期にフライトしてください。長期間保管する予定の場合は、直前にリガード塗布を行わないでください。

特別な使い方

汚れ落とし
 溶剤を多量に含んでいるので、汚れ落としの効果があります。油性の汚れには、特に効果的です。水拭きしても取れないような汚れに試してください。リガードをスポンジか布に含ませて、汚れている部分を拭き取ります。生地の両面を拭き取るのが理想的です。生地表面に付着した汚れは、ほとんど取り去ることが出来ます。生地の繊維に染み込んだ汚れは、完全に取り去ることは難しいです。作業を終えた後は、完全に乾燥させてください。

ゼッケン・ロゴ貼り付け
 ゼッケンやロゴを貼り付ける場合、強く接着したものを後で剥がすことが難しいことがあります。リガードを塗布しておくと、粘着材の効果が適度に弱くなり、後で剥がすときに作業がはかどります。ただし貼り付け作業の際に、接着力が弱くて作業が難しくなる場合があるので、あらかじめ練習しておくことをお勧めします。
 ゼッケンやステッカーを剥がした際、粘着材が残ってしまったときは、リガードで拭き取ると粘着材が容易に取れます。(但し、粘着材の種類によっては、取れないこともあります。)

色合いの復活
 パラグライダーの生地、特に上面は地面との摩擦で表面に目には見えないほどの細かな傷が多く付きます。この傷が光を乱反射して、色合いが白っぽく(薄く)なります。これが色あせの一つの原因です。リガードを塗布すると、表面の傷が埋められ、色合いが復活します。特にシリコンコーティングの生地が使われているパラグライダーは、高い効果が期待できます。
 生地の色あせは、染料自体の劣化でも起こります。この種の劣化に対しては、リガードの効果はありません。

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